宗教としてのナチズム
序. 「20世紀の悪夢」と呼ばれた第二次世界大戦が終結し半世紀が過ぎようとしている。この50年で世界システムは大きく変容した。ヒトラーが国民社会主義の存亡を賭して闘い、そして敗れたボルシェヴィズムはソ連及び東欧共産主義体制の崩壊により事実上消滅…
第1節 フェルキッシュからナチズムへ ノイロールは、その著『第三帝国の神話』の中で、ナチズムの起源について、次のように論じている。「もし、ヒトラーあるいはナチズムが、第三帝国の神話を考え出したとか、それを無から創造したとか考えるならば、それは…
第2節 プロパガンダかコンセンサスか ヒトラーは『わが闘争』の中で、大衆示威集会(民衆集会)の意義について、次のように述べている。 また民衆集会というものは、まず第一に若い運動の支持者になりかけているがさびしく感じていて、ただ一人でいることで…
第3節 ドイツ的キリスト者信仰運動 雑誌『意志と権力』1935年4月15日号の論説「積極的なキリスト教」は、ナチ政府のキリスト教に対する態度について、こう論じている。 しかし、ナチズムはキリスト教を肯定はするが 教会としてにせよ、信仰としてにせよ、ま…
おわりに 「なぜナチは12年間にわたってドイツ国民を支配できたのか?」 これはナチ研究史半世紀来の、かついまだ確答の与えられていない疑問である。前述したように、ノイロールらはドイツ人の普遍的精神性にその根拠を求めようとした。しかし結局その試み…